シソの葉(大葉)を顕微鏡観察

身近なもの

今夜の夕食のお刺身に、シソの葉(大葉)が添えられていました。

早速、観察用にシソの葉を採取し、顕微鏡観察してみましょう。

まずはプレパラートを作成します。

はさみでシソの葉を約5mm角に切り、スライドガラスの上に置きます。葉の表と裏を比較したい場合は、5mm角の葉を2枚用意し、表を観察するものは表を上に、裏を観察するものは裏を上にして並べます。

葉の上にスポイトで水を1~2滴垂らし、静かにカバーガラスをかぶせればプレパラートの完成です。

それでは、低倍率から観察していきましょう。まずは葉の裏側を対物4倍で観察したのがこちら。

シソの葉(裏側)対物4倍

ところどころ黄色っぽい粒が点在しているのが確認できます。さらに倍率を上げて観察してみましょう

シソの葉(裏側)対物10倍

黄色っぽい粒は球状をしており、照明を工夫すると、中に透明な液体が入っているように見えます。

シソの葉(裏側)対物10倍。球状の物体は、透明の液体が入ったカプセルのようにも見える。

実は、この球状の構造は腺鱗(せんりん)と呼ばれ、精油を分泌・貯蔵する植物の器官です。シソの香りの主成分であるペリルアルデヒドやリモネンなどの精油成分は、この腺鱗で作られ、蓄えられています。

これらの精油成分には抗菌作用や虫を寄せ付けにくい作用があるとされ、シソの葉を病原菌や害虫から守る役割を果たしています。

シソの葉(裏側)対物40倍

腺鱗の大きさはおよそ50μm程度(1mmの約1/20)と非常に小さく、まさに天然のマイクロカプセルといえるでしょう。

次に、シソの葉の表側を観察してみましょう。

シソの葉(表側)対物10倍

すると、裏側には数多く見られた腺鱗が、表側にはほとんど見当たりません。

これは、腺鱗で作られた精油成分が直射日光による熱で蒸発したり、紫外線によって分解されたりするのを防ぐため、葉の表側ではなく裏側に多く分布しているのではないかと考えられます。

いつもながら植物の精巧なしくみに、改めて自然の素晴らしさを感じた次第です。

また、お刺身にシソの葉が添えられている理由にも納得できました。シソに含まれる精油成分の抗菌作用を利用し、食中毒の予防を期待して用いられてきたと考えられています。

お刺身にシソの葉が添えられるようになったのは江戸時代中期頃からといわれています。当時は顕微鏡もなく、精油成分の正体も分かっていませんでした。それでも、人々は長年の経験の中からその働きを見いだし、食文化として受け継いできたのでしょう。改めて先人たちの先見の明に敬意を表する次第です。

シソの葉の顕微鏡観察を通して、シソの葉の目に見えない細かな仕組みを知るだけでなく、昔から受け継がれてきた知恵の裏付けを目の前で見ることができたような気がしました。

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