先日、サボテンの土に含まれている珪藻土を顕微鏡観察しました。

他の珪藻土についても観察したくなり、市販の珪藻土を探していたところ、顕微鏡観察用の珪藻土サンプルが市販されているのを発見、早速購入してみました。
これまで色々調べてきて、壁材として販売されている珪藻土はいくつか知っていたのですが、塗料やバインダー等が混ざっており(前回のサボテンの土のように簡単に珪藻だけを分離できず)、最適なサンプル候補が見つかっておりませんでした。
今回購入した珪藻土サンプルは、粉状の珪藻土が6本の小瓶に0.5gずつ小分けされています。1人で観察するには1本あれば十分なので、残りは顕微鏡観察イベントや友人へのおすそ分けに取っておくことにしました(笑)。

珪藻土サンプル(岡山県真庭市産)
岡山県真庭市産で、新生代 第四紀 更新世の表記があります。
更新世は258万8千年前から11,700年前までの氷河期に相当する期間1)なので、地球の歴史からすると「比較的最近」という感じです。このため、長期間の熱や圧力の影響による変性が少なく、細孔構造が残った(観察にも適した)珪藻土ではないかと推測しています。貴重なサンプルですね。
真庭市の蒜山地区で長年珪藻土を採掘されている昭和化学工業さんのサイトでも、
岡山県北部の真庭市蒜山地区で昭和化学工業が採掘製造する珪藻土製品は、原土の元となる珪藻土殻が世界で産出される珪藻土の中で最大の大きさ(粒径)であり、また堆積年数が短く地盤変動による圧力が少なかったため、細孔構造が残り、焼成珪藻土製品では最大の嵩密度(フワフワ状態)と最大の濾過速度を実現出来ることが特徴です。
「原土の元となる珪藻土殻が世界で産出される珪藻土の中で最大の大きさ」とあります。これは期待が持てますね!
では早速顕微鏡観察してみましょう。珪藻土をスパチュラ等で極少量取り分け、スライドガラスにのせます。量のイメージはこんな感じです↓あまり多いと観察しにくいサンプルになります。

その上に水を1滴たらし、カバーガラスをかけて低倍率から観察していきます。

珪藻土(真庭市産)対物4倍
対物4倍で観察すると、砂のように見える細かな不定形の鉱物に混じって、丸い物体がいくつも確認できます。

珪藻土(真庭市産)対物4倍。暗視野照明。
照明を明視野から暗視野に変えると、丸い物体は土の塊の中にも多数含まれていることがわかります。

丸い物体と砂粒のような物体が一緒に凝集して塊を形成しており、観察しづらいです。見た目も悪いので、珪藻からこの塊をを取り除いてみましょう。
まず、細長い蓋つきのガラス容器を準備します。100円ショップ等で蓋つきの化粧水入れが売っていますので、私はそういったものを代用しています。
容器に珪藻土を少量(耳かき一杯程度)入れ、容器の半分位まで水を入れます。
蓋をしてよく振り混ぜ、その後静置します。
すると、大きめの塊が先に容器の底に沈降し、溜まってきます。一方、比較的小さな珪藻は沈降速度がゆっくりで、大きめの塊が沈殿した後も、しばらく水中を漂っています。
この沈降の時間差を利用して、珪藻とその他(鉱物のかけら等)を分離していきます。具体的には、上澄み部分(しばらく水中を漂っている小さめの粒子)に珪藻が多く含まれており、スポイドで上澄み部分の水を採取します。

必要に応じてこの操作を数回繰り返します。(繰り返すほど、不純物が取り除かれていきます)
最後に上澄み部分の水を、スライドガラス上に滴下し、カバーガラスをかけて低倍率から観察していきます。まずは対物10倍で観察したのがこちら↓

珪藻土(精製後)対物10倍
不純物がかなり除去されたため、観察しやすくなりました。さらに拡大してみましょう。

珪藻土(精製後)対物40倍
対物40倍で見ると、珪藻内部の微細な孔まで見えます。解像度の関係ではっきりと見えないため、上の画像を少し拡大してみましょう。

孔が見えてきました。接眼レンズを肉眼でのぞいてみても、大体これくらいの解像度で孔が見えます。コシノディスカス(Coscinodiscus)属の円盤型の珪藻でしょうか。
さらに倍率を上げてみます。対物100倍(油浸)での観察になるため、コンデンサーとプレパラートの間、プレパラートと100倍(油浸)対物レンズとの間にそれぞれイマージョンオイルを満たし(屈折率差による光のロスをできるだけ少なくして)観察します。

珪藻土(精製後)対物100倍
対物40倍より更に細かい部分が見えてきました。こちらの珪藻は所々割れているようです。画像をもう少し拡大してみましょう。

珪藻土(精製後)対物100倍。トリミング後
珪藻の殻はガラス質の二酸化ケイ素(SiO2)でできています。非常に薄く、しかも穴まであいているために極めて割れやすいのですが、何万年も経っても無傷で残っている珪藻が結構あるのを見て驚いてます。
視野を変えて観察していくと、 クチビルケイソウ(Cymbella)を発見!

クチビルケイソウ(対物40倍)
上の写真も拡大してみましょう。

クチビルケイソウ(対物40倍)トリミング後
こちらも何万年以上も前の化石とは思えないくらい、ほぼ無傷の状態です。
蒜山産の珪藻土サンプル、しばらく楽しめそうです。
【参考文献】
1) 用語解説 産業技術総合研究所 地質調査総合センターウェブサイト 2026.9.4閲覧
2) 珪藻土ドットコム 昭和化成工業株式会社ウェブサイト 2026.9.4閲覧

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