ゾウリムシを顕微鏡観察しましょう。
まず、ゾウリムシを培養して殖やすところから始めます。
培養の仕方はインターネット上に多数紹介されていますが、今回は以下のサイト1)2)3)を参考に、ネット通販で購入したゾウリムシを、乾燥酵母や緑茶を餌に用いて培養してみました。
1)エビオス錠を使った超簡単なゾウリムシ培養(ひでるんるんの川ガサガサ/昆虫採集、生き物たっぷり飼育繁殖日誌)
2)【PDF】ゾウリムシの培養実験(大阪府立高津高等学校)
3)ゾウリムシの簡易な培養法(東邦大学メディアネットセンター)
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具体的には、ゾウリムシの種水に、ミネラルウォーターと乾燥酵母を主原料とするエビオス4)を加え、室内(20~25℃)で1週間程度静置し培養しました。また、エビオスの代わりに市販のペットボトルの緑茶(綾鷹5)や生茶6)など)を加えた培養も試みました。
その結果、エビオスでもお茶でも、ゾウリムシが増殖しているようでした。どちらも水面付近が白くなっており、肉眼でギリギリ認識できる程度の小さい物体が動いているのがわかりました。

ゾウリムシをお茶で培養
この動いている小さな物体がゾウリムシであるかを確認するため、早速、顕微鏡観察しましょう。
水面近くの白っぽくなった水をスポイドで採取、スライドガラス(ホールスライドガラスがベター)に滴下、カバーガラスをかけて低倍率から観察していきます。
まずは対物レンズ4倍で観察したのがこちら。

ゾウリムシ(対物4倍)エビオスで培養1週間後
エビオスで培養1週間後のゾウリムシです。培養開始直後は視野内に1匹いるかいないかの状態でしたが、1週間も経過すると、視野内にかなりの数のゾウリムシを確認するまで増殖しています。緑茶でも観察しましたが、同様にゾウリムシは増えていました。
もう少し倍率を上げてみましょう。

ゾウリムシ(対物10倍)エビオスで培養
対物10倍で観察すると、同4倍での観察時に難しかった、細胞内の器官の様子が確認できます。
次に、対物レンズを40倍に変え、さらに高倍率で観察してみましょう。
高倍率で観察する場合の注意点として、ゾウリムシは動きが速く、観察する間もなく視野からはみ出たりしてゆっくりと観察できないという点です。また、写真撮影時のブレにも注意が必要です(下の写真参照)。

対物40倍で観察。ゾウリムシの動きが速いため、写真がブレた状態
そのような場合の対策として、主に以下の4つが挙げられます。
(1)比較的動きの遅い個体を見つけて観察・撮影する
(2)カルボキシメチルセルロース水溶液(CMC水溶液)のような高粘度(とろみのある)液体や脱脂綿のような繊維の中にゾウリムシを入れて、動きをゆっくりにしてから観察・撮影する
(3)塩化ニッケルのようなNi+イオンの添加によりゾウリムシの鞭毛運動を一時的に停止させることでゾウリムシの動きを止め、観察・撮影する。
(4)カメラのシャッタースピードを速く(例えば1/1000)設定して撮影する(写真撮影時のみ有効な対策)
今回は、あまりゾウリムシさんに手を加えたくなかったので(1)(4)を採用しております。
もし、(2)(3)を検討されるのでしたら、(3)の塩化ニッケルは比較的有害で取扱いに注意を要する化学薬品なため、(2)のカルボキシメチルセルロース(CMC)法をおすすめします。食材屋さんなどに行くと食品添加物グレードのCMCが各種販売されていますが、大概業務用で量が多いのでネット通販等で入手するのが良いでしょう。
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対物40倍でも何とか観察できる、落ち着いたゾウリムシさんの個体が見つかりました(笑)。サンプルに照射する光量を増やしながら、シャッター速度を速くして撮影します。

ゾウリムシ(対物40倍)エビオスで培養
できる限り自然の状態(無染色、薬品無添加)で観察・撮影したのがこちらの写真(↑↓)

ゾウリムシ(対物40倍)エビオスで培養
前方の繊毛がうっすらと確認できます。
今回、簡単な方法でゾウリムシを培養、増殖の状況を顕微鏡観察で確認することができました。
今後は、ゾウリムシの繊毛や収縮胞といった各器官の動きや捕食行動などの生態観察ができればと思っています。ではまた。
【補足(参考文献等)】
1)エビオス錠を使った超簡単なゾウリムシ培養(ひでるんるんの川ガサガサ/昆虫採集、生き物たっぷり飼育繁殖日誌)
2)大阪府立高津高等学校 スーパーサイエンスハイスクール LCⅢ(3年次研究論文)令和3年度
研究班番号114 「お茶の種類によるゾウリムシの増減」(PDF)
3)ゾウリムシの簡易な培養法(東邦大学メディアネットセンター)
4)アサヒグループ食品の登録商標
5)The Coca-Companyの登録商標
6)キリンビバレッジの登録商標


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