庭にツユクサの花が咲いていました。
早速、葉の表皮細胞を顕微鏡観察してみましょう。
ツユクサの葉っぱを両手(の親指と人差し指)で持ち、こすり合わせるようしながら引きちぎると簡単にツユクサの薄皮を得ることができます。
得られた薄皮をハサミ等で数mm角にカットし、スライドガラスにのせ、スポイド等で水を1滴たらしてからカバーガラスをかけます。
まず低倍率(100倍)で観察したのがこちら。
葉の表面のいたるところに気孔が存在しています。薄皮の部分は光の透過が良好なので、細部まで観察しやすいです。
倍率を上げてみましょう。
気孔が密集しているのがわかります。
また、表皮細胞をよく見ると、所々に長細い柱状結晶を確認できます。わかりやすくするため、少しコントラストを上げてみましょう。
柱状結晶は表皮細胞内のいたるところに存在しているようです。
そういえば以前、ヤマイモを顕微鏡観察した時にも表層細胞中に多数の長細い結晶を見かけました。
ヤマイモの観察時に見られた結晶はシュウ酸カルシウムでしたが、今回のツユクサも同じくシュウ酸カルシウムのようです。日本植物生理学会のQ&Aコーナーで同様の質問をされている方がおられましたので以下に紹介します。
視野を変えたり、倍率を上げたりしてもう少し詳しく結晶を観察してみましょう。
柱状結晶以外にも、ところどころで鋭い針状の結晶が確認できます。見るからに痛そうです。
ツユクサの葉っぱが虫に食べられないように、シュウ酸カルシウムの針で身を守っているのかもしれませんね。
気孔の部分も詳しく観察してみましょう。
一対の孔辺細胞がくちびるのように向かい合って気孔を形成しているのが確認できます。
向かい合った孔辺細胞の間に生じる隙間が気孔です。(上の写真は気孔が閉じた状態)
孔辺細胞は他の表皮細胞と異なり、葉緑体が存在しているのが特徴的です。
また、孔辺細胞の細胞壁の厚みは気孔側では厚く、その反対側では薄いことが観察からわかります。孔辺細胞はこの厚みの差を利用して変形し、気孔の開閉を行っています。
今回観察したのは、花の色が青い野生種のツユクサでした。
ムラサキツユクサ(花の色が紫色の園芸種)と気孔の形や大きさが違うのか、今度また機会があれば確認してみます。
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