ティッシュペーパーやトイレットペーパーを顕微鏡観察してみましょう。
ティッシュペーパーやトイレットペーパーをはさみを用いて5mm角位の大きさに切り取ります。2枚重ねのものはピンセットを使って1枚に分離し、スライドガラスの上にのせます。
まずは60倍で観察したのがこちら。

ティッシュペーパー(通常タイプ)60倍
手持ちのティッシュペーパーには、通常の(水に流せない)タイプと水に流せるタイプの2種類があったので、両方を観察して比較することにしました。
上の写真は水に流せないタイプのティッシュペーパーで、下の写真は水に流せるタイプです。乾いた状態では両者あまり違いがわかりません。

ティッシュペーパー(水に流せるタイプ)60倍
一方、トイレットペーパーは再生紙使用のためか、顕微鏡で見て初めて気づく程度のごく少量、黒っぽい小さなゴミのようなものが含まれていました。

トイレットペーパー(再生紙使用)60倍
黒っぽい物体について、もう少し倍率をあげて観察してみましょう。

トイレットペーパー(再生紙使用)150倍
よく見ると、黒っぽく見える物体には赤色や黄色、青色が混じっていることがわかります。原料の古紙に含まれていたインクだと思われます。
インクが混じっている以外、繊維の太さやからみ具合はティッシュペーパーもトイレットペーパーもそう大差ないように見えます。
では次に、これらのサンプルに水を加えてみましょう。先ほどのスライドガラス上の乾いたサンプルに水を1滴加え、カバーガラスをかけます。カバーガラスの上から指でサンプルを軽く押さえ、左右に動かしながら繊維をほぐしていきます。

上:乾燥サンプル。下:水を加えてほぐしたサンプル。 左から、ティッシュペーパー(通常タイプ)、同(水に溶けるタイプ)、トイレットペーパー
同じように力を加えたのですが、通常タイプのティッシュペーパーは水を加えてもほぐれませんでした。
こちらも顕微鏡で観察しましょう。

ティッシュペーパー(通常タイプ・水浸漬後)60倍
やはり、通常タイプの(水に流せない)ティッシュペーパーは、顕微鏡で観察してもあまりほぐれていないように見えます。ほぐれにくいため、トイレに流すと詰まりの原因になるでしょう。

ティッシュペーパー(水に流せるタイプ・水浸漬後)60倍
一方、水に流せるタイプのティッシュペーパーは、繊維がほぐれていることが観察によりわかります。

トイレットペーパー(水浸漬後)60倍
トイレットペーパーも水につけると繊維がほぐれ、ティッシュペーパーよりもそのほぐれ方が顕著に見えます。
ティッシュペーパーなどの紙類は、使いやすさを考慮し、水がかかってもすぐにドロドロにならず、ある程度形を保つように設計されています。そのために、紙の製造工程で繊維どうしを結合させる接着剤などが添加されています。
水に流せるタイプのティッシュペーパーやトイレットペーパーは、接着剤の種類や量を工夫し、繊維どうしの結合を弱めにすることで、水につけると比較的短時間で繊維がほぐれるように設計がなされています。このため、トイレなどの下水に流しても詰まりにくいのです。
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