前回、身近にある野菜を顕微鏡観察しました。そこで今回は身近にある果物を顕微鏡で観察しましょう。
まず手始めに、秋の味覚「梨」を観察します。サンプルとして選んだのは「幸水」という日本の梨の代表的品種で、甘くてシャリシャリした食感が特徴です。
ではプレパラート作成から始めましょう。
梨を剥いたときに出てくる皮を、安全カミソリで薄くスライスします(下の写真)。
スライスしたサンプルは、水を入れたカップ等に回収します。
得られたサンプルをピンセットなどを用いてスライドガラス上にのせ、水を1滴たらしてカバーガラスをかけます。
まずは60倍で観察したのがこちら。
梨の皮の断面を見ると、丸い塊(かたまり)のようなものが多数存在しているように見えます。
視野を変えてみると、サンプルの厚みが薄くなっていて丸い塊の部分がちょうどスライスされている箇所がありました。
丸い部分は四角い結晶の集合体のようにも見えます。倍率をあげてみましょう。
やはり結晶が集まっているようです。数十μmの大きさの四角い結晶が中心に集まっていて、その周りを長細い結晶が取り囲んでいるようにも見えます。
これは石細胞(せきさいぼう)と言われており、梨のシャリシャリした食感はここから来ているようです。
通常石細胞は植物の皮などに存在し、野菜や果物の皮の部分に多く存在するが、ナシ、グアバ、フェイジョア、バンレイシ、マルメロなどは果肉に多くの石細胞を蓄積している。
梨の皮の部分だけでなく、果肉のほうも見てみましょう。
今度は梨の果肉の部分を安全カミソリでスライスし、果肉の薄片をスライドガラスにのせて観察します。
(石細胞を見やすくするため、カバーガラスの上からゆっくりと圧をかけて、薄片を押しつぶしています。押しつぶす際、カバーガラスを割ってケガしないよう注意が必要です。)
皮同様に果肉も石細胞の存在を確認できました。
梨以外にも変わった食感の食べ物があれば、顕微鏡観察で原因を探ってみるのも面白いかもしれませんね。
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