市販のヨーグルトを食べていると、時々ヨーグルトがくっつかない蓋をみかけます。
この蓋にはどのような秘密が隠されているのか、顕微鏡で観察してみましょう。
まずは斜めから蓋の表面を目視で見たり、指で触れたりしてみると、蓋はザラザラで多数の突起で覆われていることがわかります。
この突起部分をさらに光学顕微鏡で拡大してみましょう。蓋は光を通さないので、透過光での観察ではなく、斜めからLEDライトで光を当てて反射光で観察しました。まずは100倍。
丸くて透明なビーズが集まって突起を形成していることがわかります。突起は数百μmから数十μmと大小さまざまですが、意外とばらけている感じです。
さらに拡大してみましょう。
数百μm~数十μmの突起の中に、(ビーズによる)無数の小さな凹凸が形成されているのがわかります。ヨーグルトの蓋の表面は、平らではなく複雑に入り組んだ形状をしていました。
実は、これとよく似た形状が自然界にも存在します。蓮の葉やバラの花びらなどです。
蓮の葉を顕微鏡で観察すると細かい凹凸がびっしりとついています(こちらの観察はまたの機会に)。蓮の葉に水滴をたらすと、水滴が玉のようになって表面をコロコロと転がっていきます。
また、蓮の葉の表面は油(ワックス)の成分で覆われていて、凹凸形状との合わせ技で水をはじく効果を高めています。
この効果はロータス効果といって、ヨーグルトの蓋だけでなく、さまざまな工業製品に応用されています。
今回のヨーグルトのふたも、蓮の葉をヒントに開発されたといわれています。
透明なビーズの表面が水をはじきやすいように表面処理(疎水化処理)されているかどうかまでは顕微鏡観察ではわかりませんが、蓮の葉と同じように表面を疎水化することで、水やヨーグルトをはじく効果を最大限に高めることができます。
どうして蓮の葉やヨーグルトの蓋がヨーグルトや水をはじくのかは、またの機会に説明したいと思います。
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