山芋を調理していると手がかゆくなることがあります。
かゆみの原因は、山芋の皮の部分ににシュウ酸カルシウムの結晶が存在していて、それが皮膚に刺激を与えているからだそうです。
では、実際にシュウ酸カルシウムの結晶が山芋の中にどのような形で入っているのか、顕微鏡で観察してみましょう。
まずはプレパラートの作製です。
1)山芋の皮の付近を安全カミソリを使って薄く削ります
2)得られた山芋の薄皮をプレパラートにのせます
3)2)の上に水を2,3滴たらし、カバーガラスをかけて観察します。
まずは低倍率(100倍)で観察したのがこちら
表層部分、芋の内側の部分、いずれも無数の細かな細胞が確認できます。一つ一つの細胞のサイズは200μm以下(0.2mm以下)で、表層部分には細胞の所々に皮由来と思われる黄緑色をした色素が含まれているのがわかります。
丸い透明な粒子はデンプンです。表層部分のデンプン粒子の数は少なめでした。
あと表層部分の細胞の一部に、黒っぽい四角い物体が含まれているのがわかります。もう少し観察倍率を上げてみましょう。
山芋の皮(表面)部分にある四角い物体は、倍率を上げると細かい針の束であることがわかりました。これがかゆみの原因物質のシュウ酸カルシウムだと推定されます。
この針状の物体(シュウ酸カルシウム)を見やすくするために、光の当て方を工夫してみましょう。
真下から透過する光をカットして、サンプルに横から当たった光だけを観察します(暗視野照明法)。
針状のシュウ酸カルシウムが、黒の背景に白く浮かび上がってきて観察しやすくなりました。シュウ酸カルシウムは、束の状態以外にも、所々バラけて針状で散在しているのがよくわかります。
細くて尖っているので刺さるとかなり痛そうに見えますが、針が小さすぎるので皮膚に刺さった際、痛みではなくかゆみとして感じるのでしょうね。
表層に含まれているということは、おそらく山芋は容易に食べられないよう、「小動物」や「虫」から自分の身を守っているのかもしれません。
こちらはプレパラートの端の方に流れてきたシュウ酸カルシウムの針状結晶です。
長さは50~150μmで、両端が尖っていてトゲトゲしい、、、
わたしはこの観察以降、山芋の皮は厚めに剥いて、しっかりと水で洗ってから調理するようにしています。
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