米のデンプンを顕微鏡観察してみましょう。
今回は「米のとぎ汁」「炊飯前」「炊飯後」の3パターンの米のデンプンの状態を観察します。
まず初心者におすすめなのが、米のとぎ汁に含まれているデンプンの観察です。
米の研ぎ汁に含まれているデンプン粒子
米を研ぐと米の表面の細胞壁が壊れ、細胞壁の残骸といっしょにデンプンが流れだします。このため、米の研ぎ汁は白くにごっています。
今回、この濁った水を顕微鏡観察してみましょう。
米の研ぎ汁にヨウ素液(なければ、ヨウ素系のうがい薬でも可)を加え、よく攪拌します。しばらくすると、研ぎ汁に含まれるデンプンがヨウ素液と反応し、青紫色に変色してきます。
青紫に染まった沈殿物をスポイドで吸いあげ、スライドガラスに滴下、カバーガラスをかけてまずは100倍で観察します。
青く染まっている所がデンプンと思われます。こうやってみると、染まっていない部分も結構多いです。米にはデンプン以外に細胞壁など米の細胞を構成する成分が含まれていますので、その部分は染色されません。
倍率を上げて1000倍で観察したのがこちら。
じゃがいもやヤマイモのデンプンと比べて、デンプン粒子のサイズが小さいこと、形状も丸というよりは若干角ばった不定形をしていることがわかりました。
米の中に含まれているデンプン(炊飯前)
今度は米の細胞の中に含まれているデンプンの状態を顕微鏡で直接観察してみましょう。
米はもろくて固く、薄くスライスすることが難しいため、サンドペーパーなどの研磨シートやコンパウンドを使って少しずつ研磨していきます。
観察しやすいサンプルを作るコツは、仕上げ時に粗い研磨シートから少しずつ細かい研磨シートに変えながら、表面凹凸をできるだけ減らしていくことです。
表面凹凸をなくすことで、サンプル表面の乱反射を抑えてクリアな観察像が得られます。
実は、樹脂に米粒を封止してダイヤモンドカッターで切断、研磨する方法が手っ取り早いのですが、あえて一般家庭でもできる手法で観察サンプルを作成しています。
研磨して得られた米粒にヨウ素液をかけ、まずは250倍で観察してみましょう。
青紫というより、濃すぎて黒色に染色されたデンプン粒子がびっしりと詰まっています。写真右下のスケールバーが100μmですので、デンプンの粒子はかなり小さいことがわかります。
観察倍率を1000倍まで上げてみましょう。
デンプン粒子の大きさは5μm位でしょうか。
米の中に含まれているデンプン(炊飯後)
最後に、炊飯後のごはんの中に含まれているデンプンを観察してみましょう。
ごはん粒を1粒プレパラートに置き、ヨウ素液を1滴たらします。ごはんの表面が紫色に変色したら、ろ紙(なければキッチンペーパーでも可)で余分なヨウ素液を吸い取り、水を1滴たらしてからカバーガラスをかけます。
このとき、ごはん粒を広げて薄くなった状態で観察すると見やすいですが、その際カバーガラスを割って手を怪我しないよう、くれぐれも気を付けましょう。
今回、ヨウ素液で染色したデンプンの色が赤紫色になっているのは、炊飯時の加熱によって分子構造が変化しているからです。(詳細なメカニズムはまたの機会に!)
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