ジャガイモの細胞内のデンプンを顕微鏡で観察

デンプン

今日の我が家の夕食は肉じゃがです。

じゃがいもの皮をキッチンから採取してきましたので、
顕微鏡観察用にジャガイモの薄片を作成してみます。

 

通常、薄片の作成にはミクロトームを使いますが、結構高価な機器になります。
また、簡易的な方法として、理科の教科書や顕微鏡観察の解説書などで、カミソリの刃を使った薄片の作成方法が紹介されていますが、手を怪我する危険があります。

そこで今回、より安全に実験を進めるため、市販の安全カミソリを使ってジャガイモの皮をうすくスライス、顕微鏡観察用の薄片を作成しました。

下が透き通って見える位、極薄のジャガイモのサンプルが得られました。

うまくサンプルが取れたので、染色に移ります。
染色液は、ヨウ素液がベストですが、
手元にない場合はヨウ素系のうがい薬なども代用できそうです。
(参考:京都市青少年科学センターHP)

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ヨウ素系のうがい薬がありました。

スライドガラスに先ほどのジャガイモの薄片を乗せ、染色液(うがい薬)を1滴たらします。10分ほど経ってから余分なうがい薬をキッチンペーパー等で吸い取り、カバーガラスをかけて観察します。

まずは低倍率(100倍)で見てみましょう。

紫~黒色に染まった丸い粒状の物体が無数に存在しています。デンプンです。

デンプンはぶどう糖のα-グルコースが数万から数百万も鎖状につながった重合体(高分子化合物)で、らせん構造をしています。デンプンのらせん構造の中に(うがい薬に含まれる)ヨウ素イオンが入り込むと、安定化してなかなか出てこれなくなります。

このため(ヨウ素液やうがい薬に含まれる)ヨウ素イオンを使って、でんぷんの部分だけを選択的に染色することができるのです。

 

デンプンはどれも丸い形をしていますが、大きさは結構ばらついていることが分かります。

またデンプンは、透明な壁(細胞壁)をもった無数のカプセルの中に格納されているように見えます。倍率を上げて確認してみましょう。

《ミクロの食料保管庫》に格納されたジャガイモの中のデンプン(250倍)

250倍で見ると、ハチの巣状の透明な壁に囲まれた部屋(細胞)の中に、無数のデンプンが「貯蔵」されているのが確認できました。いわゆる「貯蔵デンプン」です。自然が創造したミクロの「保管庫」ですね。

では「保管庫」の大きさを測ってみましょう。

細胞一つひとつのサイズがおよそ40μm前後です。すごく小さいですね!
(40μm=0.04mm)

 

薄片サンプルから少し離れた場所を観察すると、ジャガイモの細胞組織(保管庫)から流れ出したデンプンがスライドガラス上に散らばってました。

そしてその小さな細胞の中に、細胞よりも小さな「デンプン」がぎっしりと詰まっているのです。

その日の晩、わたしは大自然の奇跡に感謝しながら、肉じゃがをありがたくいただきました。

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