庭の片隅に積み重ねられた植木鉢を片付けていると、鉢受けの皿に雨水がたまっていて、その水の中で何かが動いているように見えます。
よく目を凝らしてみると、1mmよりも小さなミジンコのような微生物が激しく動いています。
早速スポイドで微生物を採取し、顕微鏡で観察してみましょう。
ホールスライドガラス(i)に先ほど採取した(微生物が入った)水をたらし、カバーガラスをかけて25~100倍程度の低倍率で観察します。
もしホールスライドガラスがなければ、通常のスライドガラス上にビニールテープ等を用いて凹みを形成することで、ホールスライドガラスの代用品(下記写真)を作成することができます。
観察物の大きさに応じて(テープを重ね貼りし)厚みを調整することで、凹みの深さを調節しましょう。
100倍で観察したのがこちら。
カイミジンコ(Ostracoda)です。
カイミジンコは二枚貝のような石灰質の殻に包まれた甲殻類(甲殻亜門)の一種(貝形虫綱/Class Ostracoda)で、ミジンコの名前がついてますがミジンコ(鰓脚綱/Class Branchiopoda)とは異なるグループに属しています。
カイミジンコは乾燥に強い耐久卵を産むことが知られており、今回の雨水からの発生も、どこかから耐久卵が風に乗って飛んできたのでしょう。
採取した水を観察すると、いたるところで珪藻を確認できました。
もう少し拡大してみましょう。
珪藻は水場のいたるところで発生します。水たまりが乾いた後の、白くなった粉を採取し顕微鏡で観察すると、たくさんの珪藻を見つけることができます。
珪藻は地球上で最も多く発生する植物性プランクトンのひとつで、「陸上植物全体が作り出す量にほぼ匹敵する年間360億トンもの有機物を生産し、珪藻が毎日生み出す酸素の量は、全地球上の光合成生物が放出する酸素の25%にも達する1)」そうです。
雨水が溜まった水たまりにカイミジンコの耐久卵が無事たどり着いたとしても、食べるものがなければ生まれてきたカイミジンコは育つことができないでしょう。
珪藻が水場のいたるところで発生してくれるおかげで、カイミジンコのような動物性プランクトンはそれを食糧にして成長することができるのでしょうね。
【参考文献】
1)東京学芸大学 生物学教室 真山研究室ウェブサイト 2023年9月3日閲覧
https://www2.u-gakugei.ac.jp/~mayama/
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