乳酸菌観察に必要な顕微鏡の倍率と実際の見え方

乳酸菌、ビフィズス菌

読者の方から、

「うちの顕微鏡、400倍までなんですが乳酸菌は見えますか?」

「600倍で乳酸菌は見えますか?」

といったご質問をよく頂戴します。

そこで今回、顕微鏡の倍率によって乳酸菌がどれくらいの大きさに拡大されるのか?また実際に顕微鏡を覗くとどんな風に見えるのか?見え方のイメージを写真で紹介しますので、ご参考になさってください。

乳酸菌の大きさってどれ位?

乳酸菌にはいろいろな種類があります。

球状の球菌、長細い形をした桿菌、球菌が数珠状につながった形の連鎖球菌などに分けられます。

乳酸球菌や、桿菌、連鎖球菌の短軸方向(細い部分)のサイズはどれも0.5μm位です。
(1μm=1/1000mm)

桿菌や連鎖球菌の長軸方向(長い部分)は、乳酸菌により長さが異なるため一概には言えませんが、市販のヨーグルト等を観察していると、だいたい2~15μm位のものが多いです。

 

では、仮に代表的な乳酸菌の大きさを、短軸0.5μm×長軸5μmとすると、
顕微鏡の倍率によってどれくらいの大きさまで拡大されるのでしょうか。

顕微鏡の倍率と乳酸菌の拡大サイズ

短軸0.5μm×長軸5μmの乳酸菌は、

倍率100倍でみると、0.05mm×0.5mm

倍率200倍でみると、0.1mm×1mm

倍率400倍でみると、0.2mm×2mm

倍率600倍でみると、0.3mm×3mm

倍率1000倍でみると、0.5mm×5mm

に拡大されて(虚像として)見えます。

肉眼で見える大きさの限界は0.1mmといわれているので、200倍では顕微鏡の力を借りて乳酸菌を拡大したとしても、乳酸菌の短軸方向が見えるか見えないかのギリギリのところです。

顕微鏡のレンズの性能(解像度)にもよります2)が、400倍でしたら、0.2mm×2mmに拡大されて見えますので、まあ観察可能でしょう。

少し余裕を見て600倍、1000倍あればよいかと思います。1000倍だと、0.5mm×5mmに拡大されるので、ちょうどシャーペンの先から出ている芯くらいの大きさですね。

実際の見え方のイメージ

では、実際に顕微鏡で乳酸菌を観察した時の
倍率ごとの見え方を確認してみましょう。

実際に顕微鏡の接眼レンズを覗いたときと同じような見え方となるよう、
今回はコリメート法(スマホのカメラを接眼レンズに近づけて撮影する方法)で撮影しました。

なお、観察サンプルには明治ブルガリアヨーグルトの乳清を使用。エタノール固定後、メチレンブルー染色を行っています。

100倍

染みのような黒っぽい点々がいたるところに見られますが、これが乳酸菌かどうかは正直100倍ではよくわかりません。乳酸菌を観察するにはもう少し高倍率が欲しいところです。

乳酸菌 100倍で観察

400倍

400倍まで倍率を上げると、乳酸菌の存在がはっきりと分かるようになりました。

ヨーグルトの乳酸菌を観察(400倍)乳酸菌を確認できる。

メチレンブルー染色することで、400倍で難なく乳酸菌の形や大きさを確認することができます。

乳酸菌(400倍)。肉眼で見ると一般的な液晶ディスプレイで見るよりも高精細で鮮明に見える

400倍なので5μmが2mmまで拡大されますが、実際に2mmの像をじっと見つめながら観察したり、スケッチをとったりするのは結構きついです。もう少し像が大きければ見やすいんですが…

欲を言えば600倍以上、できれば1000倍は欲しいところです。

1000倍

1000倍まで拡大すると、以下のような感じに見えますので、
乳酸菌をさらに容易に観察することができます。

ヨーグルトの乳酸菌(1000倍)

但し、1000倍まで観察しようとすると通常は油浸対物レンズを使うことになるので、少し観察の手間がかかります。

しかし油浸の手間を補って余るほど、細かい所が見えて観察がしやすくなるメリットがありますので、可能ならば1000倍以上の(かつ、光学設計や品質がしっかりした)顕微鏡を導入されることをおすすめします。

 

補足

1)肉眼で見える大きさは0.1mm(100μm)といわれています。

2)顕微鏡のレンズの性能が悪いと、ぼやけたまま拡大されるので小さな物体は見えないです。光学顕微鏡の解像度は0.2μm程度といわれています。

 

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