《顕微鏡観察という「趣味」へのお誘い》
誰しもが小学校や中学校の理科の授業で幾度か「顕微鏡観察」を体験したことがあるのではないかと思います。
その時に、楽しかった印象を持たれている方も多いでしょう。
特に小学生の時の理科の顕微鏡観察実習は、私も含め多くの生徒が目をキラキラさせて食い入るように接眼レンズを覗いていました。
もう40年以上も前のことですが、楽しかった理科の実習時間の記憶として今でも鮮明に覚えています。当時私のまわりの友人たちも、顕微鏡の授業になると嬉々として理科室に向かっていました。
それは時代が変わってもおなじようで、私が最近参加させていただいた小学生向けの理科教育イベントでも、好奇心旺盛な子供たちが顕微鏡観察に夢中になっていました。
それがいつしか中学、高校、大学となり、多くの人たちが理科から離れていきます。大学やお仕事で理科系に進んだ人でも、顕微鏡は学校や会社で実習や仕事だけに使うツールとなり、家に帰ってまで趣味として顕微鏡観察をする人はほとんどみかけなくなります。
科学者や研究系の医者といった理科系のなかでも特にマニアック(笑)な職業が多い私の友人たちの中ですら、顕微鏡観察を趣味にしている人は少ないです。
その理由のひとつは、顕微鏡観察に対する「敷居の高いイメージ」ではないかと思っています。
医者や科学者の友人は、顕微鏡といえばオリンパスやニコン、カール・ツァイスで、数百万円もするようなシステムを仕事で使っていて、そんなもん趣味で始められるもんじゃない、と言う。また、マニアックなことを生業にしていない一般の方々とお話していても、(数百万円のイメージではなくとも(笑))同じく顕微鏡観察は高価な機械を購入したり大変でしょう、と言われる。そんな高価なものを買っても観察できるものがウチにはないし、、、と。
しかし最近は顕微鏡も随分安くなっており、入門用ならば数千円も出せば始められるんですよと言うと大概驚かれる。また、10万円も出せば前述の最高級研究グレードとはいかないまでも、専門家でもそこそこ納得できる観察像が得られる(20年前には考えられなかったことです)。
(もちろん、後からもっと良いのが欲しくなって、それ以上をつぎ込むことになる可能性も往々にしてあるのだが、まぁそれでも趣味のなかではあまりお金はかからない方かなと私は思っています。例えばおじさんの趣味ばかりで恐縮だが、ゴルフや釣り、カメラや天体観測なんかと比べても圧倒的に初期費用、維持費用は安いです。何ともコスパに優れた趣味じゃないでしょうか(笑))
また、観察対象ですが、ほぼ無限に存在します。理科の授業で習った玉ねぎなどの野菜や果物の皮や、花粉、田んぼや水たまりに棲む微生物、カビなど、、、身の回りにあるものすべてが対象になり得るのです(当サイトの観察例も参考にしていただければ幸いです)。
この前の緊急事態宣言で外出もままならなかった時でも、自宅で身近なものを観察可能でした。庭の池や金魚鉢の中の微生物、発酵食品の乳酸菌、麹菌、酵母など、、、私も色々と観察することができ癒やされました。
微力ですが「趣味の顕微鏡観察」が当サイトを通じて世の中に認知され、少しずつでも趣味の輪が日本じゅうに広がってくれればと思っています。
学校を卒業してから随分経った大人でも、顕微鏡を覗いて「わあっ」と盛り上がったあの小学校の理科の時間が一瞬にしてよみがえってくるでしょう。顕微鏡観察は老後の趣味にも最適です。
そして子供や孫たちと、世代を越えて顕微鏡観察を通して盛り上がっていく。これからの日本社会に理科好きな人達がどんどん増えていくことを切に願っています。
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