ヤクルトの乳酸菌を顕微鏡観察

乳酸菌、ビフィズス菌

ヤクルトを買ってきたので乳酸菌を顕微鏡観察します。

最近話題のヤクルト1000は品薄で入手できませんでしたので、通常のヤクルト(New Yakult)での観察になります。予めご了承ください。

ヤクルト1000も通常のヤクルトも、ヤクルト菌といわれる「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(lactobacillus casei strain shirota, YIT9029)」の乳酸菌が使用されているようです。この乳酸菌は耐酸性が強く、胃酸にやられずに生きて腸に届くという優れた特徴を有しています。1930年に京大医学部の代田稔博士が培養と選別を繰り返して発見した株で、日本のプロバイオテクス研究の先駆けといわれています。

では早速観察していきましょう。まずは無染色で生きたままの状態を観察してみます。

ヤクルト(1000倍)無染色

乳酸菌は無色透明なので無染色ではかなり見づらいです。

特に今回観察しようとしているシロタ株は、大きさが1-2μmしかなく、絞りを大きく絞ってコントラストをつけると(対物レンズの開口数が下がり、解像度が犠牲になるので)ぼやけてしまいます。結局、乳酸連鎖球菌を観察した時のようにはうまくいかず、動いているのがなんとかわかる位でした。

このため、メチレンブルー染色液で乳酸菌をしっかり染色してから観察することにします。
まずはプレパラートを作製していきましょう。

1)ヤクルトをスライドガラス上に1滴滴下し、コンラージ棒で薄く広げて乾燥します。

2)乾燥後、エタノールを滴下し固定処理を行います。

3)エタノールが蒸発し乾いたら、メチレンブルー染色液を滴下、10分程度静置します。

4)水道水の蛇口から出た流水をスライドガラスに当て、余分なメチレンブルー染色液を流します。
(この時、水道の蛇口を調整して水の勢いをできるだけ弱くすることと、サンプルがのった面の反対側を流水に当てることで、水流が直接サンプルに当たって乳酸菌が流れていくのを防ぎます)

5)スライドガラスに付着した余分な水滴を拭き取り、カバーガラスをかけて顕微鏡観察します。

観察結果はこちら

ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(2500倍)メチレンブルー染色

1-2μmの大きさの桿菌(長細い形状の菌)をいたるところで確認できます。
視野を変えてみても同じような感じです。

ところどころに直径3-5μm位の丸い物体がありますが、何かわかりません。
機会があれば詳しく調べてみたいと思います。

ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(2500倍)メチレンブルー染色

ヤクルト1000の乳酸菌も通常のヤクルトの乳酸菌も、同じ「ラクトバチルス・カゼイ・シロタ株(lactobacillus casei strain shirota, YIT9029)」なので、菌の見た目は変わらないと思います。

では何が違うのかというと、含まれている乳酸菌(ヤクルト菌)の数が異なります。

通常のヤクルトには約200億個のヤクルト菌が入っているのに対して、ヤクルト1000は約1000億個と実に5倍もの菌が入っているので、顕微鏡でみた菌の密集具合も違ってくると思われます。

正確には下記計算から、3.2倍くらいヤクルト1000のほうが密集しているのではないかと予想しており、今度ヤクルト1000を入手できたら観察して確認してみようと思います。

 

※通常のヤクルトは65mlで200億個、ヤクルト1000は100mlで1000億個なので、乳酸菌密度としては通常のヤクルト:3.1億個/ml、ヤクルト1000:10億個/mlとなる。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました