正月の餅が、冷蔵庫の中で忘れたままになっていました。
自家製の餅なのですぐに食べようと思っていたのですが、冷蔵庫の隅に2個だけ残った状態でずっと放置されていました。既に2ヶ月近く経過しており、さすがに食べるのは危険なので、もったいないですが廃棄することにしました。
カビが発生しやすい状態になっていたのか、冷蔵庫の外に出してからわずか1日で餅の表面が変色しだしました。せっかくですのでチャック付き袋の中に入れたまましばらく常温で放置し、カビを成長させてから顕微鏡観察しましょう。
冷蔵庫から出して1週間もすると、驚くほどカビが繁殖しています。

餅に生えたカビ
2~3cmにカットしたセロハンテープを用い、カビを採取します。カビに直接触れないよう、ピンセットを用いてテープの粘着面をカビに押しあてます。必要に応じてマスクやポリ手袋を使用し、安全に作業しましょう。
テープの粘着面にカビが付着しますので、スライドガラスにテープを貼り付けて簡易プレパラートを作成します。
まず、写真右側の餅の中心付近の黒カビを顕微鏡観察しましょう。
低倍率(対物4倍)で観察したのがこちら。

黒カビの一種、アルテルナリア(Alternaria)の顕微鏡観察(暗視野・対物4倍)
糸状の物体(菌糸)が無数に絡み合っており、ところどころ黄色い粒状の物体(胞子)が散らばっているのが確認できます。徐々に倍率をあげていきましょう。

アルテルナリア(Alternaria)の胞子(対物10倍)
対物10倍では、胞子(黄色の物体)の形状が確認できます。胞子は、長細い形をしていますね。さらに拡大してみましょう。

アルテルナリア(Alternaria)の胞子(対物40倍)
アルテルナリア(Alternaria)の胞子のサイズは、長手方向で約20~30μmくらいです。アルテルナリアはお餅やパンなどでよくみられる黒カビ(ススカビ)で、湿った環境で大発生するといわれています。

アルテルナリアの菌糸と胞子(対物40倍)
アルテルナリアは吸い込むとアレルギーを引き起こすことがあるので、カビが飛散しないよう注意して観察しましょう。今回のセロハンテープを用いた観察法は、粘着剤によってカビが飛散しにくくなるだけでなく、スライドガラスに貼り付けることでカビをセロハンテープのフィルムで物理的に封じ込められるのでおすすめです。
黒カビの次は、青カビも観察してみましょう。
餅の中心部分は黒カビが大発生していましたが、中心から離れた部位に所々青カビのコロニーが発生しており、こちらにもセロハンテープを押し付け、カビを採取します。対物40倍で観察したのがこちら。

青カビの胞子(対物40倍)
細かい胞子が無数に散らばっています。以前、ミカンの青カビを観察したときと同じような観察結果ですね。


青カビの分生子(対物40倍)
青カビの胞子と比べると、先ほど観察したアルテルナリアの胞子がとても大きいことがわかります。実はこの大きさゆえ、人がアルテルナリアの胞子を吸い込むと鼻腔や気管の中に長時間とどまり、アレルギー性鼻炎や喘息などのアレルギー症状を引き起こしやすくなると言われています。

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