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【実際の見え方付き】小学生向けの入門用生物顕微鏡(LAKWAR双眼顕微鏡VL030)の購入時の注意点

管理人コラム

以前にも複数の方から同じような質問を受けておりましたが、先日小学生のお子さんがいる読者の方から、ネット通販でよく見かける「LAKWAR双眼顕微鏡」について、「子供向けに購入を検討しているがどうでしょうか?」との質問がありました。

LAKWARは中国拠点のメーカーで、以前このメーカーからプレパラートを購入したことがあり、プレパラートについては安価な割に品質もよく満足していたのですが、顕微鏡については全くノーチェックでした。そこで今回思いきって実際に購入し、どれくらい見えるのか検証してみました。本機を用いて実際にスマホで撮影した顕微鏡写真もいくつか掲載しましたので参考になさってください。

LAKWAR双眼顕微鏡VL030(2024.8購入)

ひとことで言うと、

「機能盛りだくさんのおもちゃグレード」の顕微鏡です。安価な割には色んな機能を詰め込んでオトク感満載なので、小学校低学年~中学年の入門機として割り切って購入するのならアリかと思います。学校では確か小学5年生位に理科の単元で顕微鏡の使い方を習いますが、それまでに顕微鏡に慣れ親しんでおくための知育玩具として使えるでしょう。

但し、トイグレードの域は脱していないので、クリアな見え方を求めるなら、最初から高学年向けの実習グレードの購入をおすすめします。

どれくらい見え方が異なるのかは、当サイトの顕微鏡写真を参考になさってください。

最初は入門機から始めたとしても、小学校高学年や中学生になっても顕微鏡を使い続けているコアな生徒さんには本機のようなトイグレードの顕微鏡は物足りないと思うので、(お子様のさらなる成長のために)ぜひ実習グレードや研究グレードの顕微鏡(例えば、Swift SW-380Tや、メイジテクノ MT-30など)を導入してあげてください。

 

購入時のチェックポイント

購入時に真っ先にすべき主な確認項目としては、(1)部品がそろっているか、(2)正常に機能するか(壊れていないか、一通り観察できるか)の2点です。商品到着後ただちにチェックし、もし不具合があればお店に連絡し交換等の対応をしてもらいましょう。

国内メーカーの顕微鏡と違って、検品は私たちの方でしっかりとやりましょう。海外から送られてきた商品(おそらく国内では中身は検品されていない?)になりますので、破損していないかも要チェックですね!

外観(顕微鏡本体・ケース)のチェック

顕微鏡本体や顕微鏡ケースが壊れていないか、まず外観のチェックをします。

顕微鏡一式は、専用ケースにまとめられています。

ケース、本体の外観に問題は無いようでしたので、次に部品のチェックに入ります。

部品のチェック

顕微鏡に付属する部品がすべて揃っているか破損していないか等のチェックです。

注文時の商品説明の内容と比べて、過不足ないか念のため確認します。

私が注文した時は、注文画面に付属品の記載(下記のような)があったので、それと見比べながらひとつひとつ揃っているか、壊れていないか確認しました。結果、無事全部そろっていました。(もし不足や破損があればすぐにお店に連絡しましょう)

・本体、対物レンズ(4倍,10倍,40倍)、接眼レンズ(10倍×2, 25倍×2)、絞り、電源ケーブル、スマホ撮影アダプター、シャーレ、試験管、ピンセット、スポイド、プレパラート10枚+スライドガラス5枚、収納ケース、クリーニングクロス、取扱説明書

 

観察像の確認

次に、付属のプレパラートを用いて観察像の確認を行います。この時、先ほどの目視での外観検査ではわからなかった不具合の有無も併せて確認します。

具体的には、

LEDランプ、コンデンサー、絞りの状態、対物レンズ(4倍、10倍、40倍)の状態、鏡筒、ミラーの状態、接眼レンズ(10倍、25倍)の状態を実際にサンプルを観察しながら確認していきます。

私の場合、レンズやミラーが割れているようなこともなく、LEDライトもしっかり点灯することを確認しました。明るさの調節機能、鏡筒の回転、ステージの上げ下げもスムーズでばっちりです。但し、今回清掃状態はあまりよろしくなかったようで、最初見たときは霞がかったような観察像でした。

原因を調べてみると、単玉のコンデンサーに白いグリースのようなものがべったりと付着していました(苦笑)。あと接眼レンズもホコリが付着して白く濁っていました。

コンデンサーに付着した白色グリース状汚れ

そこで、手持ちの眼鏡拭きや、付属のクリーニングクロスを綿棒の先につけて、コンデンサーと接眼レンズをていねいに清掃しました。もし、汚れがひどくて自分で対応できる範囲を超えている場合はお店に相談されるとよいでしょう。

なお観察像は、手持ちのプレパラート(なければ付属のプレパラート)等を使って、すべてのレンズの組み合わせで一通り観察できるか確認することをお勧めします。あまりにも見え味が悪い、ピントが全く合わない等の不具合もこの段階で洗い出し、もし不具合がある場合はお店に連絡して相談しましょう。

 

実際の見え方

では、クリーニングも一通り終わったので、改めて代表的なサンプルで見え方を確認してみましょう。

今回は実際に顕微鏡の接眼レンズを覗いたときと同じような見え方となるよう、
コリメート法(スマホのカメラを接眼レンズに近づけて撮影する方法)で撮影しています。

なお、今回撮影に用いたスマホはiPhoneSE(第2世代)になります。

40倍(対物4倍 × 接眼10倍)

トウモロコシの茎/横断面 40倍  対物4倍×接眼10倍 LAKWAR双眼顕微鏡

トウモロコシの茎の断面観察です。実際にこんな感じで見えます。付属の接眼レンズの視野が狭め(視野絞りの直径から視野数9mm程度と推定)なので見える範囲は狭いですが、普通に観察は可能。これ位の見え方なら小学生の自由研究等、色々な用途に使えそうです。

ちなみに同条件で撮影した実習・研究グレードの顕微鏡(Swift Stellar1 Pro-T)での40倍(対物4倍、接眼10倍)の見え方はこんな感じになります。見える範囲が広いだけでなく、周辺部位の見え方もクリアです。

トウモロコシの茎/横断面 40倍  対物4倍(Plan)×接眼10倍(WF) Swift Stellar1 Pro-T

Stellar1の4倍対物レンズと比べて本機の4倍対物レンズは少し大きく見えるみたいです。詳しくは別の機会に説明しますが、恐らく対物レンズの倍率誤差かと思われます。(どの機種でも多少誤差ありますが、少し大きいような…(苦笑))

LAKWAR双眼顕微鏡での観察例(顕微鏡写真)に戻ります。

アリの頭部(40倍)LAKWAR双眼顕微鏡

アリの頭部です。この写真は透過照明ですが、落射照明も使えるので、アリのような小さな昆虫でしたらそのまま落射照明で観察できそうですね。

アカガエルの血液(40倍)LAKWAR双眼顕微鏡

次はアカガエルの血液です。ヒトと同様に血液の色は赤く、赤血球を有していることがわかります。

頬の内側の細胞(40倍)

こちらは頬の内側の細胞です。LED照明も明るく、容易に観察できます。

バナナの導管と貯蔵デンプン(40倍)

バナナのスジの部分です。本機は円盤絞りを9mmから4mmまで1mm刻みで6段階に調節できるので、徐々に絞りを絞ってコントラスト強めにすると上記写真のように透明なデンプンもはっきりと確認できます。

 

100倍(対物10倍 × 接眼10倍)

10倍の対物レンズを用いると、4倍のレンズでは見えなかった細かいところも見えてきます。

トウモロコシの茎/横断面 100倍  LAKWAR双眼顕微鏡

アカガエルの血液(100倍)

頬の内側の細胞(100倍)

バナナの導管と貯蔵デンプン(100倍)

 

400倍(対物40倍×接眼10倍)

次は対物40倍です。実習グレードの顕微鏡と比べると解像度は落ちますが、比較的よく見えていると思います。

トウモロコシの茎/横断面(400倍)

 

アカガエルの血液(400倍)

アカガエルの赤血球の形も400倍で比較的容易に確認できます。ヒトの赤血球同様に真ん中が凹んでいますが、形状はヒトの赤血球と異なり(まん丸でなく)楕円形をしているのがわかります。

バナナの導管(400倍)

池の水(400倍)

池の水(400倍)-2

乳酸菌(400倍)メチレンブルー染色

ヨーグルトの乳酸菌です。透明で見えにくいため、染色液(メチレンブルー)で5分染色しています。

乳酸菌(連鎖球菌)400倍×カメラズーム2.5倍=1000倍

スマホのカメラのズーム機能を利用して、約1000倍で観察。乳酸菌(連鎖球菌)の形状がなんとか確認できます。

トイグレードの限界でしょうか。光軸がずれているようで、ピントを合わせようとすると像が流れます。光軸調整すると見え方はもう少し良くなると思いますが、今回の趣旨から外れますのでまたの機会に(笑)

 

使用してみての感想(良かった点、悪かった点)

1週間ほど使用してみましたが、自分が子供の頃に使っていた顕微鏡と比べて随分多機能で、なかなかコスパに優れた顕微鏡だと感じました。

良かった点

価格が安い

とにかくコスパが良いです。この価格で付属品充実、本体も双眼、LED照明(透過、落射)、簡易なコンデンサー、円盤絞りに加えて、ピント合わせは微動も付いていて機能盛りだくさん。子供が外に持って行ったりして存分に使い倒して、万一壊れたとしてもあきらめがつく価格。

双眼タイプ

双眼タイプは単眼タイプに比べて見やすいです。また、片方にカメラを装着しても、片方でのぞくことができるので、単眼よりも使い勝手が良いです。

そこそこ見える

トイグレードの中ではよく見えるほうですね(上記写真参照)。細菌などの非常に小さなものを観察しようとすると実習グレード以上の顕微鏡がですが、観察対象思います。

ケース付属

普段の保管や持ち運びに便利な専用ケースが付属しているのはポイント高いです。個人的には、このケースだけでも他の顕微鏡用に別売して欲しい位(SW-380Tにもこんなケースがあればいいのに…)。ケースの中に敷き詰められたスポンジ状の緩衝材が輸送時のショックから守ってくれるので、顕微鏡を外出先に気軽に持ち出すことができます。

照明の電源(コンセント、単三電池 どちらでもOK)

外に持ち出すときに電池駆動は便利です。

メカニカルステージの取り付け穴あり

市販の簡易メカニカルステージを装着可能な取り付け穴がステージについています。ずれ防止のピン2本が固定ネジと一直線に並んでいるタイプのメカニカルステージが取り付け可能です。

 

残念な点

視野が狭い

接眼レンズの視野数が狭く(接眼レンズの視野絞りから恐らく9mm?)、見える範囲が非常に狭い。(9mmってWFちゃうやん!と言いたい)

双眼鏡筒の視度調整ができない

左右の視力に差がある場合にピント補正する鏡筒リング(視度調整リング)がついていないため、別途視度調整環つきの接眼レンズを購入しないと視度調整することができない。

対物レンズ間でピントが合っていない

レボルバーを回して対物レンズを変えると焦点が合わず、毎回ピント合わせの操作が必要となり煩わしい。

対物レンズ間で光軸が微妙にずれている

レボルバーのネジ穴の工作精度が悪いのか?対物レンズの軸がずれているのか?わからないが、対物レンズを替えるとサンプルの位置がずれるため、いちいちサンプル移動の操作が必要で煩わしい。

DIN規格の対物レンズが使えない

焦点距離がいずれも38mm前後のようでDIN規格の45mmと比べて短め。そのため市販されているDIN規格のレンズに換装してグレードアップできない。

対物レンズを替えて色々遊ぼうと思ったんだが、遊べないみたい…

とまあ、色々言い出したらキリがないですが、

小学生向けの入門用生物顕微鏡としては十分及第点じゃないかなと思います

 

おまけ:付属のプレパラートについて

プレパラート10枚と空のスライドガラス5枚が上記のケースに入っています。

プレパラートにはサンプル名が書かれていますが、英語なので日本語名を付記しておきます。ちなみにサンプル名の最後についている“W.M.”は、Whole Mountの略で、日本語では「全体像、全組織の標本」のように訳されます。

No. サンプル名(和訳) サンプル名(原文)
イエバエの口器 全体像 Housefly Mouth Parts W.M.
ミツバチの口器 全体像 Mousepart of Honeybee W.M.
クロモ(水草)の葉 全組織 Leaf of Hydrilla verticillate W.M.
トウモロコシの種子 縦断面 Zea Seed L.S.
マツの若い雄性球果 縦断面 Pine Young Staminate, Cone L.S.
ヒトの血液塗抹標本 Human Blood Smear
小腸の切片 Small Intestine Section
花粉を運ぶミツバチの脚 全体像 Pollen-carrying leg of Honeybee W.M.
ミツバチの羽 全体像 Honeybee Wings W.M.
10 蚊の幼虫 全体像 Mosquito Larva W.M.

なお、スライドガラスは5枚ついていますが、カバーガラスは入っていませんので別途購入する必要があります。私のおすすめはマツナミのカバーガラスです。30年以上使っていますが、何の不具合もなく安心して使いつづけています。

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