もみの木を顕微鏡観察

身近なもの

昨年のクリスマスに飾ったモミの木(ウラジロモミ)のクリスマスツリーですが、枝を少しだけカットして仕事部屋のサイドデスクに飾っています。

デスク周りに良い香りが漂い、まるで毎日森林浴をしているようでとても癒されています。

今回は、このモミの木の葉と枝を顕微鏡観察してみましょう。

まずは葉の表面(と裏面)を観察します。モミの木の葉を長さ5mm程度にカットしたものを2枚用意し、それぞれ表面(濃い緑色)と裏面(白っぽい緑色)を上にしてスライドガラスの上にのせます。

その上に水を1~2滴たらし、カバーガラスをかけて60倍で観察したのがこちら↓

モミの木(ウラジロモミ)の葉【表面】(60倍)側射照明

葉の裏側は肉眼では白いスジが2本入っているように見えますが、顕微鏡で拡大すると、そのスジの部分には白くて丸いつぶつぶが無数にあり、それが白っぽく見える原因であることが分かります。

モミの木(ウラジロモミ)の葉【裏面】(60倍)側射照明

このスジの部分は、「気孔帯」と言われているみたいですが、顕微鏡で拡大しても気孔のようには見えません。白くて丸いつぶつぶは実はワックス成分で、蒸散量を抑えたり、葉の表面を保護するバリア層として機能していると考えられています。

次に、葉の断面を観察しましょう。

モミの木の葉をニワトコの芯に挟み(なければ発泡ポリスチレンでも代用可)、芯ごと安全カミソリを使って葉の断面を薄くカットし、切片を作成します。

得られた切片をスライドガラスの上にのせ、水を1滴たらしてからカバーガラスをかぶせ、まずは60倍の低倍率で観察します。

モミの木(ウラジロモミ)の葉【断面】(60倍)

切片が少し厚すぎたようで、透過光が遮られて黒っぽく見えます。理想的には細胞1層分の薄片が望ましいですが、安全カミソリを使った簡易な方法では、均一な厚みを得るにはコツが必要です。本格的に薄片を作成する場合は、ミクロトームの使用をおすすめします。

薄片が準備出来しだい写真を差し替えますが、それまでは厚膜のサンプルを用いて高倍率で観察した結果を以下に示します。

モミの木(ウラジロモミ)の葉【断面】(150倍)

維管束の部分です。写真ではわかりにくいですが、染色液で赤く染めた水を吸わせたため、維管束の道管部分は赤っぽく見えます。染色液はサフラニンを使用しました。

モミの木(ウラジロモミ)の葉【断面】(600倍)

茎も観察してみましょう。モミの木の枝(茎)を安全カミソリでうすくスライスし、切片をスライドガラスにのせ、水を1滴たらしてからスライドガラスをかぶせます。

葉と同じように、まずは60倍で観察します。

モミの木の枝(茎)横断面 60倍

外側から内側に向かって樹皮、皮層、形成層・師部、木部、そして中心に空隙の多い髄の存在が確認できます。若い枝なので木部に比べて髄の占める割合が大きいです。

もう少し拡大して観察してみましょう。

ウラジロモミの樹皮の表面。根のように見えるものは外来由来?(150倍)

最外層に根のようなものが見られますが、ウラジロモミの樹皮から発根する可能性は低いと考えられます(そもそも発根点が異なるため)。おそらく、樹皮表面に付着した地衣類や苔の仮根、もしくは菌類の菌糸ではないかと推測しています。

 

木部を拡大(600倍)

若い枝なので木部は年輪が明瞭に確認できないです。

ウラジロモミの茎の断面 木部を拡大(600倍)

木部の外側は内側に比べて細胞のサイズが小さく、細胞分裂が盛んである様子がうかがえました。

これまで植物の断面サンプルを自分で作る機会があまりなかったため、サンプル作りには苦労しましたが、多くの発見がありとても楽しめました。

植物の葉の断面サンプルについては、次回再トライして写真を改めてアップする予定です。

 

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました